個人事業主の保険2026|AFP宅建士が語る5つの見直し軸

個人事業主として働いていると、「自分の保障って本当に足りているのか」と不安になる瞬間があるはずです。私はAFP・宅地建物取引士として保険代理店に3年、大手生命保険会社に2年勤務し、数百件を超える個人事業主・フリーランスの保障設計に関わってきました。個人事業主の保険2026年版として、今見直すべき5つの軸を実体験をもとに解説します。

個人事業主の保障が弱くなる構造的な理由

会社員との保障格差は想像以上に大きい

会社員には傷病手当金があります。業務外の病気やケガで働けなくなった場合、標準報酬日額のおよそ3分の2が最長1年6か月間支給される制度です。しかし個人事業主が加入する国民健康保険には、この傷病手当金が原則ありません(2020年以降、コロナ特例で一部自治体が任意給付しましたが、恒久的な制度ではありません)。

私が総合保険代理店に勤務していた頃、脱サラして独立したばかりのフリーランスエンジニアの方から相談を受けました。「会社員時代の感覚で保険を選んでいたら、気づけばまったく保障が足りていなかった」とおっしゃっていました。独立直後は収入変動も大きく、保険の見直しが後回しになりがちです。しかし、働けない期間のリスクは会社員より格段に大きいのが個人事業主の現実です。

国民年金だけでは老後資金が大幅に不足する

2024年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額68,000円程度です。会社員の場合は厚生年金が上乗せされますが、個人事業主はこの国民年金のみが公的年金の基本となります。老後の生活費として月20〜25万円を想定するなら、月15万円前後の不足が生じる計算になります。

この差を民間保険・iDeCo・小規模企業共済などで補うことが、個人事業主の資産形成における中核的な課題です。制度を知らないまま放置すると、60代になってから「もっと早く動いておけばよかった」という状況になりかねません。個別の試算は状況によって大きく異なりますので、FP等の専門家への相談を活用することをおすすめします。

私自身の保険見直し体験――2026年の法人化を前に

個人事業主5年目で直面した保障の空白地帯

私は2026年に自身の法人を設立しました。法人化を決めた時、真っ先に着手したのが保険の棚卸しです。個人事業主として5年近く活動してきた中で、正直なところ「保険のプロなのに自分の保障設計が後回しになっていた」と気づかされました。

当時、私が加入していたのは定期死亡保険と医療保険の2本だけでした。所得補償保険には未加入で、万が一長期入院になった場合の収入補填がほぼゼロの状態だったのです。AFP資格を持ちながら、自分の保障設計に目を向けていなかった事実は、今振り返っても反省点です。法人化を機に、所得補償保険・就業不能保険・経営者向けの医療保険を組み合わせて設計し直しました。

複数のFP相談を経て気づいた「見直しの順番」

法人化にあたって、都内のFP事務所に複数社の比較相談を依頼しました。相談料はFP事務所によって異なりますが、初回60〜90分で5,000〜15,000円程度が相場感です(無料相談は保険販売が前提となる場合があるため、独立系FPへの有料相談も選択肢の一つです)。

複数のFPと話して共通して指摘されたのが「優先順位の整理」でした。死亡保障→就業不能→医療→老後の順で手当てすることが、個人事業主の保険見直しにおける基本的な考え方です。私はこの優先順位を無視して医療保険から選び始めていたため、最重要の就業不能リスクが手薄になっていました。見直しの順番を間違えると、保険料を払いながら肝心な保障が抜け落ちるという状況になりかねません。

所得補償保険の見直し軸――フリーランス保障の核心

保険金額の設定で陥りやすい落とし穴

所得補償保険(就業不能保険)は、病気やケガで働けなくなった期間の収入を補填する保険です。個人事業主にとってフリーランス保障の中核となる商品ですが、保険金額の設定を誤ると「保険料だけ払って実際の生活費に足りない」という事態になります。

設定の基本は「月の固定費+最低限の生活費」を基準にすることです。たとえば家賃・光熱費・通信費・食費など生活に必要な固定費が月20万円であれば、その額を目安に設定します。免責期間(支払いが始まるまでの待機期間)は60日・90日・180日から選べる商品が多く、期間が長いほど保険料は抑えられます。手元に3〜6か月分の生活費を確保できているなら、90〜180日の免責期間で保険料を最適化する考え方もあります。

2026年現在、注目すべき商品選択のポイント

個人事業主向けの所得補償保険は、保険会社によって「精神疾患を保障対象に含むかどうか」「収入の証明方法」「支払い限度期間(2年・5年・60歳まで等)」が大きく異なります。特に精神疾患(うつ病等)は、フリーランスの休業原因として無視できない割合を占めており、2026年現在も加入者から関心が高まっています。

複数社を比較した結果として言えるのは、保障内容・免責期間・支払い限度期間の3点を軸に比較することが有効だということです。保険料の安さだけで選ぶと、肝心な場面で保障が出ないケースがあります。最終的な商品選択はご自身の状況と専門家の意見を踏まえてご判断ください。AFPとCFPの違い2026|AFP宅建士が示す6つの判断軸

老後年金の上乗せ設計――小規模企業共済とiDeCoの使い分け

小規模企業共済は個人事業主の退職金制度として有効な選択肢

小規模企業共済は、中小機構が運営する個人事業主・小規模企業の経営者向けの共済制度です。月額1,000〜70,000円(500円単位)で掛け金を設定でき、掛け金全額が所得控除の対象となります。年間最大84万円の控除が受けられる計算で、所得税・住民税の軽減効果が期待できる制度です。

私自身も個人事業主として加入し、毎月一定額を積み立ててきました。廃業・退職時には「退職所得」として受け取れるため、一時金受け取りの場合は退職所得控除が適用され、税制上のメリットが期待できます。ただし、元本保証ではなく運用成績によって受取額が変動する点、途中解約では元本割れのリスクがある点は理解した上で活用することが必要です。

iDeCoは長期運用を前提にした老後資金の積み立て手段

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、個人事業主の場合、月額最大68,000円まで拠出できます(2024年度現在)。掛け金全額が所得控除となり、運用益は非課税、受け取り時も退職所得控除・公的年金等控除の対象です。3段階で税制上のメリットが期待できる制度として、AFP相談の現場でも活用を検討する場面が多い選択肢の一つです。

注意点は、60歳まで原則として引き出せないことです。事業の資金繰りが厳しくなった局面でも手をつけられないため、手元流動性との兼ね合いで掛け金を設定することが重要です。小規模企業共済とiDeCoを組み合わせて上限近くまで活用するか、どちらを優先するかは個人の状況によって判断が異なります。AFP相談おすすめ2026|現役AFPが選ぶ6つの判断軸

法人化前の保険整理法と個人事業主の保険見直し総まとめ

個人事業主の保険2026年版・5つの見直し軸

  • ①所得補償保険の確認:就業不能リスクへの備えが最優先。免責期間・支払い限度期間・精神疾患の取り扱いを確認する
  • ②死亡保障の適正化:扶養家族がいる場合は定期保険で必要保障額を確保。独身・子なしは最小限でもよいケースが多い
  • ③医療保険の入院給付:入院日数の短期化(平均在院日数は2023年時点で約30日前後)を踏まえ、短期入院に対応した設計か確認する
  • ④小規模企業共済・iDeCoの活用:老後の国民年金不足を補うために、所得控除を活用した積み立てを検討する
  • ⑤法人化前後の保険整理:個人契約の保険を法人契約へ切り替えるタイミングと損益への影響を事前に把握しておく

AFP相談を活用して保障設計を整える

個人事業主の保険見直しは、保険単体の問題ではなく、キャッシュフロー・税務・老後設計が絡む複合的な課題です。私が法人化を経験して強く感じたのは、「自分でできると思っていても、専門家の視点で見ると抜け漏れがある」という現実でした。

特に法人化を検討しているフリーランスや、独立して3〜5年経過した個人事業主の方は、一度保障全体を棚卸しするタイミングとして2026年は有効な機会です。AFP相談やFP相談を活用することで、優先順位の整理・保険料の最適化・老後設計の方向性を整理する助けになります。最終的な判断はご自身の状況と専門家の意見を合わせてご確認ください。

保険・資産形成の相談窓口として、オンラインでFPに相談できるサービスも広がっています。費用・相談内容・担当FPの専門性を比較しながら、自分に合った相談先を選んでみてください。

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筆者:Christopher/AFP・宅地建物取引士。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、個人事業主・富裕層・経営者の保険×資産形成相談を多数担当。2026年に自身の法人を設立し、保険見直し・FP相談・iDeCo・NISA等の資産形成を実体験中。現在は都内法人を経営・インバウンド民泊事業を運営中。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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