夫婦の老後費用を「なんとなく2,000万円あれば大丈夫」と思っていませんか。AFP・宅地建物取引士として保険代理店や生命保険会社で500人以上の家計相談に関わってきた私、Christopherが言えるのは、この「なんとなく」が老後破綻の入口になるということです。2026年現在の制度・物価水準をふまえ、夫婦の老後費用を正面から試算し、7つの家計設計軸として整理しました。
夫婦の老後費用の平均と現実——月26万円では足りない理由
総務省データが示す「老後 生活費 夫婦」の実像
総務省の家計調査(2023年度)によると、65歳以上の夫婦世帯における消費支出の平均は月約25〜26万円です。一方、生命保険文化センターの調査では、「ゆとりある老後生活」に必要な費用は月38万円前後という回答が出ています。この差額、月12万円・年間144万円を30年間積み上げると、約4,320万円になります。
「2,000万円問題」という言葉は広く知られましたが、あれは標準的な支出を前提にした試算です。旅行・趣味・孫へのプレゼントといった「豊かさ」を加えれば、夫婦の老後資金として必要な額はその倍近くになり得ます。
私が保険代理店勤務時代に担当した50代夫婦の案件では、「退職後は節約するから大丈夫」とおっしゃっていたご夫婦が、実際に家計を試算してみると月3万円以上の赤字が出ることに気づかれたケースが複数ありました。「節約前提」の計画は危険です。
夫婦の年金不足額を正しく計算する方法
夫婦の年金受給額は、夫婦それぞれの就労形態・年収・加入期間によって大きく変わります。会社員+専業主婦の一般的な夫婦モデルで試算すると、厚生年金+基礎年金を合わせた受給額は月22〜24万円程度が目安です。
先ほどの支出目安(標準26万円)と対比すると、月2〜4万円の不足が生じます。「ゆとり生活」の38万円と比較すれば、月14〜16万円の不足です。この夫婦の年金不足を放置したまま退職を迎えると、貯蓄の取り崩しが一気に加速します。
正確な試算をするには、年金定期便(ねんきんネット)で各自の見込み受給額を確認し、支出シミュレーションと突き合わせることが第一歩です。個別の事情によって数字は異なりますので、詳細はFP・専門家への相談をおすすめします。
私自身の家計設計経験——2026年法人化で気づいた老後資金の盲点
法人設立前後の保険見直しで露わになったリスク
私は2026年に自身の法人を設立しました。それまで個人事業主として活動していた私にとって、法人化は「節税」だけでなく「老後の収入設計」を根本から見直す機会になりました。
個人事業主時代、私は国民年金のみの加入でした。厚生年金に比べると受給見込み額は大幅に低く、老後の夫婦生活費を試算すると月15〜17万円程度の年金収入しか期待できない状態でした。iDeCoの掛金上限が自営業者は月6.8万円(2024年改正後)と高く設定されているのはそのためで、私は実際にiDeCoの積立額を見直しました。
法人設立後は役員報酬を設定して社会保険に加入したことで、将来の厚生年金受給額が増加します。同時に、法人契約の生命保険も見直しました。個人では加入していた定期保険と医療保険の役割を整理し、法人で手当てできるリスクと個人で備えるべきリスクを分けて設計し直したのです。
保険代理店時代に見た「経営者の老後失敗例」から学んだこと
総合保険代理店で3年間、個人事業主や経営者の保険相談を担当していた私が繰り返し目にしたのは、「事業の保険は充実しているが、老後の夫婦資金設計が白紙」というケースです。
ある60代の経営者夫婦は、法人としての財産はそれなりにあるものの、法人と個人の財産が混在していて、退職後の手取り収入が想定より大幅に少なくなると判明しました。法人から個人への資金移転には税務上のルールがあり、「法人にお金があるから安心」という感覚が老後設計の落とし穴になっていたのです。
私自身がこの経験を持っているからこそ、2026年の法人化にあたって「法人・個人の役割分担」を意識した家計設計を優先しました。具体的には、都内のFP事務所に相談して複数のシミュレーション案を比較検討した上で、自分なりの結論を出しています。
住居費と医療費——夫婦の老後費用で見落とされやすい2大コスト
老後の住居費は「持ち家でも終わらない」
老後 家計設計を考える際、住居費を「持ち家があるから不要」と見なす方が多いのですが、これは危険な前提です。持ち家があっても、築年数によっては大規模修繕費用が発生します。国土交通省のデータによると、戸建住宅の一般的な修繕費用は30年で500〜800万円程度が目安とされています。
マンションであれば管理費・修繕積立金が毎月かかり、月3〜5万円前後の固定費が老後も続きます。さらに2040年以降は築古マンションの空き家問題が深刻化すると予測されており、売却価格の下落リスクも念頭に置いておく必要があります。
賃貸の場合は家賃が老後の支出に直接のしかかります。65歳以降は賃貸審査が厳しくなるケースもあり、老後の住まい選びは50代のうちから検討を始めておくことが賢明です。中退共のメリットデメリット2026|AFP宅建士が解く6つの判断軸
医療費・介護費の現実的な試算方法
生命保険文化センターの調査では、介護に要した費用(住宅改造・介護用品購入等の一時費用)の平均は約74万円、月々の費用は平均約8.3万円(2021年調査)とされています。介護期間の平均が約5年1ヶ月と仮定すれば、夫婦それぞれが要介護状態になった場合、合算で1,000万円を超えることも珍しくありません。
医療費については、高額療養費制度によって月の自己負担額に上限が設けられていますが、差額ベッド代・先進医療費用・通院交通費などは対象外です。70歳以降の自己負担割合が所得に応じて2〜3割になることも、家計試算に織り込んでおく必要があります。
私が相談を受けた60代夫婦のケースでは、医療費・介護費だけで月6〜8万円を見積もっておくと安心という結論に至るケースが多かったです。ただし個別の事情により異なりますので、ご自身の健康状態・家族歴・地域の介護サービス水準も考慮した上で試算されることをおすすめします。
資産形成と保険の役割分担——夫婦の老後資金を育てる4つの仕組み
iDeCo・NISAと保険を「目的別」に使い分ける
夫婦の老後資金を効率的に準備するには、「いつ・どのような形で使うお金か」によって手段を分けることが重要です。私が実践している考え方は、大きく4つに分類することです。
- 短期の生活防衛資金(3〜6ヶ月分):普通預金・流動性の高い口座で確保
- 中期の積立(10〜20年):NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)を活用した分散投資
- 長期の老後資金(退職後〜):iDeCoによる所得控除メリットを活かした積立
- 万一の保障(死亡・病気・介護):生命保険・医療保険・介護保険で手当て
私自身、法人化後にiDeCoの加入形態が変わったことを機に、NISAの積立額も見直しました。2024年から新NISAが始まり、年間360万円・生涯1,800万円の非課税枠が使えるようになったことは、夫婦それぞれが別枠で活用できるため老後資金形成において効果が見込まれる制度です。
ただし、投資にはリスクが伴います。元本割れの可能性があることを理解した上で、ご自身のリスク許容度に合った運用を選択してください。最終的な判断はご自身で行い、必要に応じて専門家へのご相談を推奨します。
「保険の出口」を設計しないと老後に負担が残る
保険を老後資金設計の中で考える際に見落とされやすいのが「保険料の出口」です。現役時代に加入した定期保険・医療保険の保険料は、60〜70歳を過ぎると更新のたびに大幅に上昇します。退職後の収入が下がる中で保険料だけが上がれば、家計を圧迫します。
私が大手生命保険会社に勤めていた時代から感じていたことですが、「老後も手厚い保障が必要か」を一度立ち止まって考えることが重要です。子どもが独立し、住宅ローンが完済されていれば、死亡保障の必要額は大幅に下がります。浮いた保険料をNISAやiDeCoに回す選択肢も、有力な候補として検討する価値があります。
保険の見直しは保険業法の規制の中で行われる専門的な判断が必要です。特に解約・乗り換えについては、既存の保障内容を慎重に確認した上で進めてください。中小企業退職金共済メリット2026|AFP宅建士が解く6つの活用軸
夫婦の老後設計に「FP相談」を活かす——まとめと行動ステップ
7つの家計設計軸——チェックリストとして活用する
- ①年金受給額の確認:ねんきんネットで夫婦それぞれの見込み受給額を把握する
- ②支出の洗い直し:老後の固定費(住居・保険・通信費等)を現時点で試算する
- ③住居コストの見直し:持ち家・賃貸問わず修繕費・管理費・老後の住み替えを検討する
- ④医療費・介護費の積立:夫婦それぞれ500〜800万円を目安に準備を始める
- ⑤iDeCo・NISAの活用:目的別に分けて、非課税メリットを活かした積立を継続する
- ⑥保険の役割整理:老後に本当に必要な保障を見直し、余剰保険料を資産形成へ
- ⑦FP相談による客観的シミュレーション:自己流の試算に「第三者の目線」を加える
この7軸は、私がAFP・宅建士として相談対応してきた中で繰り返し出てきたポイントを整理したものです。どれか一つを「完璧にこなす」必要はありません。まず①から始めて、現状を数字で把握することが行動の出発点です。
「FP相談 夫婦」を活かすタイミングと活用法
FP相談を活用するタイミングとして、私がおすすめするのは「退職の5〜10年前」です。この時期はiDeCoの積立年数がまだ残っており、NISAの非課税枠も有効活用できます。保険の見直しを行っても保険料が極端に高くなる前のタイミングでもあります。
私自身、都内のFP事務所に複数回相談し、シミュレーション案を比較した上で自分の家計設計を組み立て直した経験があります。「自分で調べても答えが出ない」という段階になったら、FPのサポートを活用する選択肢を積極的に検討してください。
FP相談の費用は相談内容・時間・事務所によって異なりますが、1回あたり5,000〜15,000円前後が一般的な目安です(無料相談窓口もあります)。費用対効果を考えれば、老後資金の設計に関する相談は費用以上のリターンが期待できる場面が多いです。ただし、相談によって最適化が期待されるものであり、結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でご確認いただき、複数のFP・専門家の意見を参考にされることをおすすめします。
夫婦の老後費用の準備は、「早く始めるほど選択肢が増える」ものです。2026年の今こそ、夫婦で老後 家計設計の話し合いを始めるタイミングです。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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