「ジュニアNISAが終わってしまったけれど、高校生の子供の資産形成はこれからどうすればいい?」という相談が、2025年以降、私のFP相談でも急増しています。AFP・宅地建物取引士として保険代理店時代を含め500人以上の家計相談に関わってきた私、Christopherが、高校生世代のNISA活用と子供への資産承継を「5つの設計軸」で整理します。
高校生とNISAの基礎整理――ジュニア後継世代の現在地
ジュニアNISA終了で変わった「子供の資産形成の前提」
2023年末、ジュニアNISAは新規投資受付を終了しました。それ以前は年間80万円・最大5年間・非課税期間は18歳まで継続という設計で、子供の資産形成の定番手段でした。しかし終了後、多くの親御さんが「次の手が見えない」状態に陥っています。
実際に相談に来た40代の会社員の方は、「ジュニアNISAに毎年80万円を入れ続けてきたが、高校1年生の子供について今後どうするか全く考えていなかった」とおっしゃっていました。これは珍しいケースではなく、制度の終了を機に「学資代替」としての資産形成を一から再設計する必要が出てきた家庭がたくさんあります。
ジュニアNISA終了後に選択肢として浮上するのは、主に以下の3方向です。
- 親名義の新NISAで子供のために積み立てを継続する
- 子供が18歳(成人)になるのを待って子供自身が新NISAを開始する
- 贈与・信託・保険を組み合わせた世代間承継スキームを設計する
それぞれにメリットと注意点があり、家庭の事情によって正解は異なります。個別の状況を踏まえた判断が必要ですので、この点はあくまでも参考として、最終判断は専門家への相談をお勧めします。
高校生が「今すぐ」できないこと・できることを整理する
新NISAは18歳以上が対象です。2022年の民法改正で成人年齢が18歳に引き下げられたことで、18歳になった4月1日以降であれば新NISAの口座開設が可能になりました。高校3年生の多くは17〜18歳の間にいますから、「もうすぐ開設できる」層と「あと1〜2年待つ必要がある」層が混在しています。
高校在学中(17歳以下)に子供自身ができることは限られていますが、「口座開設前に何を準備するか」を家庭単位で設計しておくことは今すぐ着手できます。具体的には、証券会社の選定・つみたて投資枠での投資信託の候補リストアップ・月々の積立予定額の確認といった事前準備です。
私が総合保険代理店に在籍していた頃、富裕層のご家庭から「子供が18歳になる前に何をしておくべきか」という相談を複数いただきました。その経験から言えるのは、「18歳の誕生日に即開設できる準備を整えておくこと」が時間を無駄にしない資産形成の第一歩だということです。
私が保険代理店時代に見た「高校生世代の資産形成の現実」
富裕層家庭でも設計が曖昧だった「子供のお金の出口」
総合保険代理店で3年間、主に個人事業主・経営者・富裕層の相談を担当していた時期に、子供の資産形成について相談を受けた件数は30件を超えています。その中で気づいたのは、収入・資産が十分にある家庭ほど「入口」(積立の仕組み)は整っているのに、「出口」(いつ・どのように子供に渡すか)が曖昧なケースが多いという事実でした。
ある経営者の方は、学資保険・ジュニアNISA・親名義の投信積立を3つ同時に走らせていましたが、それぞれの目的が重複していて、子供が大学進学する時に「どれを使えばいいか整理できていない」状態でした。資産形成は「積むこと」と「使うこと・渡すこと」をセットで設計する必要があります。
私自身、2026年に法人を設立した際に、自分の資産形成と家族への資産承継を改めて整理し直しました。法人化前後では保険の受取人設定・贈与の枠組み・iDeCoとNISAのバランスが大きく変わるため、自分でもFP目線で見直しを行った実体験があります。この経験が、今の相談業務の実質的な土台になっています。
「高校生の子供に何をどう伝えるか」が資産教育の分岐点
子供が資産形成を「自分事」として捉えられるかどうかは、親がどのタイミングでどう伝えるかに大きく左右されます。私が相談を受けた家庭の中で、18歳以降にスムーズに新NISAを開始できた子供の共通点は、高校在学中に「家庭の家計の全体像を見せてもらっていた」という点でした。
金額をすべて開示する必要はありませんが、「うちは毎月これくらいを将来のために積み立てている」「あなた名義の口座にはこれだけある」という事実を共有するだけで、子供の金融リテラシーは大きく変わります。資産形成は制度の活用だけでなく、次の世代への「お金の考え方」の承継でもあると私は考えています。
18歳成人での新NISA開始法――5つの設計軸
軸①〜③:口座・投資枠・積立額の基本設計
18歳で新NISAを開始する際、設計の骨格となるのは次の3軸です。
【軸①:証券口座の選定】ネット証券と対面証券では手数料・商品ラインナップ・サポート体制が異なります。高校生・大学生世代はコスト面からネット証券が選択肢として上がりやすいですが、最終的にはご自身で各社の約款・手数料・サービス内容を確認のうえ選んでください。
【軸②:つみたて投資枠の活用】新NISAのつみたて投資枠は年間120万円・生涯1,800万円(うちつみたて投資枠は最大1,200万円)が非課税枠として設定されています。18歳から開始すれば、長期の時間軸を活かした積立が可能です。貯蓄の平均額2026|AFP宅建士が語る年代別7つの真実
【軸③:月々の積立額の現実的な設定】大学生・社会人なりたての段階では収入が限られているため、月5,000円〜1万円程度の少額から始め、収入の増加に合わせてステップアップする設計が現実的です。「親からの援助を積立原資にする」場合は贈与税の基礎控除(年間110万円)との兼ね合いも確認してください。
軸④〜⑤:承継設計と学資代替の視点
【軸④:親から子への贈与タイミングの設計】ジュニアNISA終了後、「親が子のために積み立てたお金をどのタイミングでどのように渡すか」は世代間承継の核心です。暦年贈与(年間110万円以内は非課税)を活用しながら、子供の新NISA口座に原資を移していく方法は、多くのFP相談で提示される選択肢の一つです。ただし2024年以降の贈与税改正(相続前7年以内の贈与の加算期間延長)の影響もあるため、相続・贈与の専門家への確認を強くお勧めします。
【軸⑤:学資代替としての位置づけを明確にする】新NISAを「学資保険の代替」として使う場合、重要なのは「使う時期」を明確にすることです。大学入学時に一部を売却する前提なら、株式型の成長投資枠よりも値動きが相対的に安定しやすいバランス型・債券混合型の投信を選ぶ判断もあります。「学費という目的資金」は投資期間が短い(5〜6年)ことが多く、長期積立前提の設計とは別に考えることが重要です。個別の判断については、必ずFP・税理士にご相談ください。貯蓄目標の立て方2026|AFP宅建士が語る7つの逆算設計術
親から子への承継設計――世代間承継の具体的な考え方
贈与・信託・保険の3つを組み合わせる視点
資産承継は「一手段に集中させない」ことが設計の安定性を高めます。私が保険代理店時代に関わった経営者世代の相談では、次の3つを組み合わせるケースが多く見られました。
- 暦年贈与:毎年110万円以内を子供の口座に移し、子供の新NISA原資とする
- 生命保険の受取人設定:契約者・被保険者・受取人の設定を見直し、相続税対策と承継を一体で設計する
- 教育資金の一括贈与:金融機関経由で最大1,500万円まで非課税(制度の適用条件・期限を要確認)
これらは組み合わせの妙が重要で、単独で使うよりも税効果・流動性・承継タイミングのバランスが取りやすくなります。ただし税制は毎年改正される可能性があるため、実行前に必ず税理士・FPへの確認を怠らないようにしてください。
高校生の「金融口座」を親がどう整理するか
子供名義の口座がすでに複数ある家庭は、18歳のタイミングで一度整理することをお勧めします。親が管理していた子供名義の口座は、民法上は子供が成人した時点で子供本人に管理権が移ります。この時に「どの口座に何の目的でお金が入っているか」が整理されていないと、子供が自分で資産を把握できない状態になります。
私が2026年の法人設立時に行った作業の一つが、個人名義・法人名義・家族名義の資産の棚卸しでした。法人化すると資金の流れが複雑になるため、家族への承継設計も同時に整理する必要があり、この経験は今の相談業務に直接生きています。家庭単位での「資産の見える化」は、高校生世代の資産形成を設計するうえでの前提条件です。
まとめと私からのアドバイス――今すぐ動ける3つのアクション
5つの設計軸を振り返る
- 軸①:18歳の誕生日に即開設できるよう、証券会社の選定を今から進める
- 軸②:つみたて投資枠を中心に、長期積立の仕組みを子供自身と設計する
- 軸③:月々の積立額は収入ステージに合わせてステップアップ型で設定する
- 軸④:暦年贈与を活用した原資の移転は、贈与税改正の影響を踏まえて専門家確認必須
- 軸⑤:学資代替として使う場合は「使う時期」を明確にし、運用期間の短さを考慮した設計にする
ジュニアNISA終了後の高校生世代の資産形成には、制度の理解と家庭ごとの事情を組み合わせた個別設計が不可欠です。世代間承継・学資代替・新NISA開始という3つのテーマが交差するこの問題は、一般的な情報だけでは最適解にたどり着けないケースが多くあります。
迷ったら専門家に相談するのが近道です
私がAFPとして多くの相談に関わってきた経験から言えるのは、「情報は持っているのに動けない」という状態の方が非常に多いということです。特に子供の資産形成は「失敗できない」という心理的プレッシャーも加わって、判断が遅くなりがちです。
そういった時こそ、独立系のFPに相談することで整理が早まります。相談料の目安は初回無料〜1時間5,000円程度のケースが多く、保険・証券の勧誘を前提としない独立系FPであれば、中立的な立場からアドバイスを受けられます。もちろん最終的な判断はご自身でされる必要がありますが、専門家のサポートを活用することで選択肢が明確になるケースは多くあります。
本記事で解説した内容はあくまで一般的な情報提供であり、個別の事情によって最適な選択肢は異なります。具体的な資産形成プランの設計・贈与税や相続税の判断については、FP・税理士等の専門家にご相談ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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