「学資保険はメリットなし説が正しいのか」と悩む親御さんは、2026年の現在も後を絶ちません。AFP・宅地建物取引士として保険代理店に5年間勤務し、個人事業主・富裕層・経営者を含む500人超の家計相談に向き合ってきた私の経験から言うと、この問いへの答えは「家庭の状況によって正反対になる」です。新NISAの登場と物価上昇を踏まえ、7つの判断軸で整理します。
「学資保険メリットなし説」が広がる3つの背景
低金利が長期化した結果、返戻率が大きく下落した
学資保険の返戻率は、2000年代初頭には110%を超える商品も珍しくありませんでした。ところが日銀のゼロ金利・マイナス金利政策が長期化した影響で、主要商品の返戻率は105〜107%程度まで低下し、商品によっては100%を下回るケースさえ出ています。
返戻率105%と聞けば悪くないように思えるかもしれませんが、仮に月1万円を18年間払い込むと総払込額は216万円です。受取額が226万円なら差額は10万円。一方で18年間のインフレ率が平均1〜2%で推移すれば、実質購買力ベースでは元本割れに近い水準になります。
2024年以降、日銀が利上げ局面に入ったことで一部商品の返戻率に改善の兆しもありますが、まだ「かつての高返戻率時代に戻った」とは言えない状況です。ここが「学資保険 不要」論が強まった一番の理由です。
新NISAの登場が教育資金準備の選択肢を広げた
2024年に始まった新NISAは、年間360万円・生涯1,800万円の非課税枠を持つ制度です。成長投資枠とつみたて投資枠を組み合わせれば、長期の積立投資で運用益に一切課税されません。
学資保険の返戻率がせいぜい5〜7%(元本比)の上乗せである一方、インデックスファンドを活用した新NISAの期待リターンは年率3〜5%程度(過去実績ベース)と言われます。18年間の複利効果を加味すると、新NISAで積み立てた場合の到達金額は学資保険を大幅に上回る可能性があります。ただしこれは市場リスクを受け入れることが前提であり、元本保証ではない点を理解しておく必要があります。
「学資保険 新NISA 比較」で検索するユーザーが急増しているのは、この制度変化を受けてのことです。両者を単純比較するだけでなく、後述する7つの判断軸で自分の家庭に当てはめることが重要です。
保険代理店3年で見た500人の相談——私が感じた現実
「返戻率だけ」で判断して後悔した親御さんの事例
総合保険代理店に在籍していた3年間で、私は主に30〜50代の個人事業主・経営者の方々を中心に家計相談を担当しました。その中で学資保険についての相談は非常に多く、「返戻率が低いから解約して新NISAに乗り換えたい」というご相談が、特に2024年以降に急増しました。
ところが実際に設計書を拝見すると、多くのケースで「払済保険」として継続する方が得策だという結論になりました。学資保険を途中解約すると解約返戻金が払込額を大きく下回るケースが多く、損失を確定させてしまう危険性があります。特に契約から5年以内の解約は、払込保険料の70〜85%程度しか返ってこない商品が珍しくありません。
「返戻率が低いから不要」と判断する前に、現在の解約返戻金と今後の払込予定額・受取予定額の差額を正確に計算することが先決です。私はこの確認作業を怠った方が損失を被る場面を、相談現場で何度も目の当たりにしました。
富裕層・経営者が学資保険を「あえて続けた」理由
私が相談を担当した富裕層や中小企業経営者の方々の中には、新NISAや株式投資でかなりの資産を持ちながら、あえて学資保険を継続・活用していた方が複数いらっしゃいました。その理由を整理すると、大きく3点に集約されます。
- 強制貯蓄としての機能:「口座にあると使ってしまう」という心理的バリアを設けるため
- 親の死亡・高度障害時の保険料払込免除:万が一の際に教育資金が確保されるという安心感
- 分散の観点:株式資産が多いポートフォリオに対し、値動きしない「確定額」を一部持つことのリスク分散効果
これらは返戻率だけでは見えてこない価値です。経営者の方の中には「子どもの教育資金だけは相場に左右されない形で確保しておきたい」とおっしゃる方も多く、資産規模が大きいほど「保険の死亡保障機能」への評価が高い傾向がありました。
新NISAと学資保険を比較する7つの判断軸
軸1〜4:リターン・リスク・流動性・税制の違い
まず「学資保険 新NISA 比較」において押さえるべき4軸を整理します。
①リターン:新NISAが長期的には学資保険を上回る期待値を持ちますが、市場リスクを伴います。学資保険は低いながらも確定リターンです。
②リスク:新NISAは市場の下落時に元本を割るリスクがあります。18年後の子どもの入学時期が市場の暴落と重なった場合、資産が目減りしたまま使わざるを得ない可能性があります。一方、学資保険は満期に受取額が確定しています。
③流動性:新NISAはいつでも売却・引き出しが可能です。学資保険は途中解約に損失リスクが伴います。ただし「使いやすさ=教育資金準備に向く」とは限らず、流動性が高いほど目的外使用のリスクも上がります。
④税制:学資保険の受取時は「一時所得」として課税対象になりますが、50万円の特別控除後に2分の1課税のため、実際に税負担が生じるケースは限定的です。新NISAの運用益は非課税で、税制面では新NISAが有利です。教育資金の平均2026|AFP宅建士が解く5つの準備軸
軸5〜7:保障・強制力・家庭の状況による適合性
⑤保障(払込免除):学資保険特有の価値が「保険料払込免除特則」です。親が死亡・所定の高度障害状態になった場合、以後の保険料払込が免除され、満期保険金は予定通り受け取れます。この機能は新NISAにはありません。
⑥強制貯蓄力:学資保険は口座引き落としで自動的に積み立てが進み、「使いたくても使えない」仕組みが働きます。自己管理が苦手な方や、育児の忙しさで資産管理に手が回らない方には、この強制力が教育資金準備の継続性を支える要素になります。
⑦家庭の状況:共働き・専業主婦(夫)・自営業・会社員など、収入の安定性・死亡リスクへの備えの厚さ・現在の生命保険の保障内容によって判断は変わります。定期保険や収入保障保険で死亡保障が十分なら、学資保険の保障機能に重複が生じるケースもあります。個別の事情により最適解は異なりますので、最終判断はFP・専門家へのご相談を推奨します。
学資保険の「必要性」が高い家庭・低い家庭の特徴
加入を前向きに検討すべき家庭の3条件
私が相談現場で見てきた経験から言うと、学資保険の必要性が高いと判断できる家庭には共通した特徴があります。
- 親の死亡保障が手薄で、学資保険の払込免除機能が実質的な生命保険の補完になるケース
- 投資経験がなく、市場の変動によるストレスが大きいと予想される家庭(リスク許容度が低い)
- 自己管理が難しく、「口座にあると使ってしまう」という習慣的な課題がある家庭
特に第一子誕生直後の家庭では、生命保険の見直しと学資保険の検討を同時に行うケースが多く見られました。この場合、学資保険単体で「お得かどうか」を判断するのではなく、家族全体の保障設計の中での位置づけを先に考えることが重要です。
また、2026年現在は物価上昇が続く局面でもあります。教育費は私立中学・高校・大学の費用が年々上昇傾向にあり、「学資保険 必要性」を考える上でこの物価動向も判断材料に加える必要があります。学資保険フコク生命の評判2026|AFP宅建士が解く5つの設計軸
新NISAや他の手段を優先すべき家庭の条件
逆に、学資保険よりも新NISAや他の教育資金準備手段を優先すべき家庭の特徴も明確にあります。
- すでに十分な生命保険(定期保険・収入保障保険)で死亡保障が確保されており、学資保険の保障機能に重複が生じるケース
- 投資経験があり、長期積立のリスクを受け入れられる家庭(リスク許容度が高い)
- 教育資金準備の期間が15年以上あり、長期の複利効果を享受できる見込みがある家庭
私自身、2026年に法人を設立して以降、個人と法人の両面で資産設計を見直しました。その過程でiDeCo・NISA・生命保険の役割分担を整理し、「教育資金準備は新NISAのつみたて投資枠で対応、死亡保障は収入保障保険で厚くする」という方向性に行き着いた経緯があります。ただしこれは私個人の状況に合わせた選択であり、すべての家庭に当てはまるものではありません。
2026年の最終判断軸とまとめ——学資保険は「不要」ではなく「人による」
7つの判断軸チェックリスト
- ①現在の学資保険の返戻率と払込済額・解約返戻金を正確に把握しているか
- ②親の死亡保障は学資保険の払込免除なしでも教育資金が確保される設計になっているか
- ③新NISAの非課税枠を活用した積立をすでに行っているか、または今後開始できる環境にあるか
- ④教育資金の準備期間(子どもの年齢から逆算)は十分にあるか
- ⑤自身のリスク許容度・投資経験・自己管理能力を正直に評価できているか
- ⑥物価上昇を加味した教育費総額の見積もりを出したことがあるか
- ⑦家族全体の保障設計(生命保険・医療保険・収入保障)の中で学資保険の位置づけを整理できているか
「学資保険メリットなし説」は、返戻率が低下し新NISAが登場した現在において一定の根拠があります。しかしそれは「すべての家庭にとって不要」を意味しません。7つの判断軸を使ってご自身の家庭の状況に当てはめることで、「継続すべきか」「乗り換えるべきか」「どう組み合わせるか」の判断がより明確になります。
迷ったときは専門家への相談を活用する
学資保険の必要性・不要性の判断は、家族構成・収入・保障の厚さ・投資経験・リスク許容度など複数の要素が絡み合うため、一般論だけでは結論が出ません。個別の事情により最適解は大きく異なります。
私自身、保険代理店時代に数百件の相談を受ける中で痛感したのは、「ネット情報だけで判断して後悔した」という声の多さです。解約のタイミング・払済保険への変更・新NISAとの組み合わせなど、具体的な選択肢は専門家と一緒に検討することで精度が上がります。最終的な判断はご自身でご確認いただき、必要に応じてFPや保険専門家への相談を活用してください。
教育資金準備について、学資保険を軸に複数の選択肢を無料で比較・相談できるサービスを活用するのも一つの手段です。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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